栃木県の現地情報

矢を放つ

栃木県日光市二荒山神社では、一月の四日、年が明けてまだ間もない寒い時期に、とある行事を行います。

それは『武射祭』というもので、室町時代から行われている由緒ある伝統行事です。

どういうものかというと、宮司や神官、弓道を嗜む方達が、掛け声と共に、赤城山方面の湖面に向かって矢を放つというものです。

この時に放たれた矢は、札所で厄除けのお守りを付けた破魔矢にしてもらう事が可能で、持ち帰る事も可能です。

更に、この行事を見に来た方には甘酒と大根の切り漬けが振舞われるそうです。

『武射祭』は、男体山の神が赤城山の神に勝ったという戦場ヶ原の伝説に基づくものだそうで、男体山と言えば、栃木を代表する山ですね。

男体山は、東北側で山続きである『女蜂山』と対になるように付けられたものだと考えられています。

この男体山と女蜂山の間には、大真名子山と小真名子山という二つの山が存在しており、男体山と女蜂山の子供だと言われています。

一方、伝説の舞台となった『戦場ヶ原』ですが、日光の代表的な観光名所として有名ですね。

『赤沼』など聞いた事が無いでしょうか?

戦場ヶ原は、周囲を山に囲まれた湿原であり、古来の山の荒神によって奪い合いをされた土地でもあります。

下野国(現在の栃木県)には、男体山と赤城山があり、中禅寺湖を巡って争いを始めました。

男体山は大蛇に、赤城山は大百足に変化し、結局は男体山の孫であり、弓の名手である小野猿丸を味方にした男体山が勝利を得ました。

その際に、小野猿丸の矢を眉間に受けた赤城山(大百足)が血を流し、水が赤く染まった事から『赤沼』という名称になったそうです。

『武射祭』の矢を放つという行為は、この伝説から来ているというのがよく分かります。

矢で退治された赤城山に向けて矢を放つと、それで厄が払われる――――未だに矢を放たれ続ける赤城山が若干可愛そうな気もしますが、こういう伝説から由来していると分かると、より一層お祭りを楽しめるのではないでしょうか?

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